飼養管理方法

本ページは必要最小限のことについて記載したものです。飼養保管方法の詳細については、専門の飼育書等をご参照下さいますようお願い致します。


【飼養施設、用具及び環境】

飼養施設、用具

    •  飼養施設は、犬の大きさや習性に応じた十分な広さを備えたものを用意しましょう。排せつ施設、隠れ場、遊具等も必要です。
    •  また、清掃等が容易で、逃げ出したりしない構造のもの、突起物等により障害等を受けるおそれがないものを選びましょう。
    •  ケージ、首輪、リード、食器、水入れ、寝床、トイレ、ブラシ、遊び道具など。

清掃等

    •  犬の健康と安全を守るため、定期的に掃除や消毒を行い、適切な衛生状態を維持しましょう。
      トイレの清掃は1日1回以上、犬舎や食器の清掃は汚れの程度を見ながら必要に応じて実施しましょう。

環境

    •  適切な日照や通風等の確保を図り、適切な温度や湿度が維持された飼養環境を確保しましょう。
    •  トイプードルは屋内で飼養して下さい。
    •  危険物や毒になるものの管理をしっかりしましょう(また、室内での排便・排尿のしつけをするとともに、できる限り不妊・去勢手術を行うことにも留意しましょう)

【食事と栄養管理】

食事の種類

    •  ドッグフード(総合栄養食)や自家製の犬専用の食事(必要な栄養が人とは異なるので注意が必要です)

食事の回数や量

    •  1日2回(幼齢時は3~4回)。量は、体重あたりの量を基本にして、犬の体重の変化や体の調子、便の状態などを見ながら調整しましょう

飲み水

    •  いつでも新鮮な水が飲めるように、きれいな容器に入れて置いておきましょう。

注意すること

    •  犬に与えてはいけない食べ物があるので注意が必要です。
    •  また、与え過ぎによる肥満も、犬の健康にとっては好ましくありません。
    •  人の食べ物は欲しがっても与えないこと。犬と人とは体のつくりや必要な栄養バランスが違うので、病気の元となるとともに、躾の上でも良くありません。
    •  食事は時間を決めて与え、残したときはすぐに片付けます。食べ残しを放置すると腐敗し、衛生上よくないとともに、いつでも好きなときに食べられる状況は躾の上でも良くありません。
    •  魚の骨や鳥の骨、チョコレート、タマネギ、ネギ類は与えないでください。魚や鳥の骨は腸を傷つけることがあり、タマネギやネギ類は、死に至る重症の貧血を起こすことがあります。また牛乳は下痢をすることがあります。

【運動及び休養】

    •  運動の習性等に応じた必要な運動、休息及び睡眠を確保するようにしましょう。
    •  犬が健康に過ごすためには毎日の散歩が必要です。飼い主のライフスタイルに合わせて、一定の時間帯に散歩をしましょう。ただし、犬は汗をかけず、焼けた路面で火傷をする場合もあるので、夏場の暑い時間は避けましょう。
    •  必要な運動量は、品種、年齢などによって異なります。大まかな目安として、小型犬で朝夕10~20分。なお、仔犬や老犬には無理をさせないようにしてください。
    •  散歩の時は必ずリードにつなぎ、ふん処理の道具を携行して持ち帰りましょう。排せつを済ませてから散歩に出るような配慮も必要です。

【しつけ】

    •  犬が家庭や人間社会のなかで一緒に生活していくためのルールを教えることがしつけです。訓練や芸をさせることではありません。
    •  しつけのコツは叱るのではなくほめ、それもできたら大げさにほめて教えることと、根気よく教えることです。体罰、大声、おどしは絶対に避けるようにして下さい。
    •  基本は、人が常にリーダーシップをとって犬の行動をコントロールすることです。そのためには、犬に主従関係をしっかり認識させ、理想的には犬は家族の最下位に位置するよう接すれば、家族の要求に従う犬に育ちます。
    •  基本的な号令には、オスワリ、フセ、マテ、オイデ、ツケなどがあります。

【お手入れ】

    •  犬の健康を保つためには、日頃の手入れは大切です。体内をくまなく触ることは、病気や異常の早期発見につながります。
    •  また、飼い主が犬の体をくまなく触ることは、スキンシップを図るとともにリーダーシップを示すことにもなり、しつけのトラブルの未然防止にもなります。

ブラッシング

    •  汚れや抜け毛を取り除き、つやのある毛にすると同時に、皮膚の血行を良くします。
    •  運動の後に、まず毛並みに逆らってブラシをかけて汚れを浮かし、次に毛並みにそってブラッシングします。トイプードルの場合、可能であれば2~3日に1回は行いましょう。
    •  トイプードルは1~2カ月に1度、カットを行いましょう。

シャンプー

    •  回数は飼う場所や毛の長さなどによって異なります。一般的には1ヶ月に1回程度です。

つめ切り

    •  室内飼いのトイプードルはもとより、十分に散歩をしている犬でも親指のつめは地面につかないので伸びてしまいます。伸びすぎたつめを放置すると、毛布などにからまり、つめを折ったりはがしたりすることがあります。

耳の手入れ

    •  耳の中のチェックが時々必要です。健康な犬では、耳垢はわずかでほとんど臭いません。
    •  臭いがきつかったり、黒い耳垢がたまっている時は、獣医師に相談が必要です。
    •  綿棒などでのふき取りは、耳の粘膜を傷つけ、汚れを押し込むことになるので良くありません。

歯の手入れ

    •  犬用の歯ブラシや、ガーゼを巻いた指で歯と歯茎をこすってあげます。奥歯の外側が、歯石のつきやすい場所です。
    •  歯石を放置しておくと歯肉炎、歯槽膿漏等の病気が進行する可能性があります。
    •  また歯が悪いと、心臓や腎臓などの病気の原因になるおそれが高くなります。

【病気】

 かかりやすい主な病気

 ・腸管内寄生中症

    •  下痢や食欲不振などが主な症状です。放っておくと死亡することもあります。
    •  多くは、便の虫卵検査で診断します。寄生虫の種類に応じた駆虫薬の投与により駆虫できます。

 ・パルボウイルス感染症

    •  おう吐、下痢が主な症状です。
    •  子犬では発病してから1~2日のうちに死亡してしまいます。
    •  予防ワクチンがありますので、生後2~3ヶ月になったら接種しましょう。

 ・犬フィラリア症

    •  そうめん状の細い虫が心臓や肺動脈の中に寄生する病気です。蚊に刺されることで感染します。
    •  寄生数が多いと心臓の機能に障害を与え、放っておくと心不全で死亡することもあります。

 人と動物との共通感染症

  •  動物から人へ、人から動物へとうつる病気を、人と動物との共通感染症といい、200種類以上あると言われています。
  •  犬の主な共通感染症及び犬にかかりやすい感染症には、次のようなものがあります。
    パスツレラ症、皮膚糸状菌症、回虫症、狂犬病など

 ・狂犬病

    •  感染した犬などの動物に噛まれてうつる恐ろしい病気です。温血動物は全て感染します。
    •  現代でも治療法はなく、人も動物も発症すると100%死亡してしまいます。
    •  日本では昭和32年以降流行はありませんが、世界では現在でもほとんどの国(地域)で発生し、年間3万人以上の人が死亡しています。

 ・皮膚糸状菌症、かいせん症、白癬菌症

    •  糸状菌(カビの仲間)や、かいせん(ダニの一種)による皮膚病は、人にもうつることがあります。
    •  また、人の水虫(白癬菌症)は、人から犬にうつることがあります。

 ・エキノコックス症(多包状虫)

    •  本来、キツネとノネズミの間で感染している寄生虫病です。
    •  犬はノネズミを食べることで感染し、ほとんど症状を示しません。
    •  虫卵が人の口に入ると、子虫が肝臓などに寄生して、長い年月の後に肝障害などの症状を起こします。
    •  流行地は北海道なので、犬をつれて旅行する時は、犬がノネズミなどを食べないように気をつけることが必要です。
    •  犬に寄生したエキノコックスは薬で駆除できます。

 健康管理と予防方法

  •  犬がかかる病気は、感染症、腫瘍、生活習慣病など、人と同じようにたくさんあります。病気を早期に発見するためには、常に元気・食欲・尿や便の状態などに注意していることが必要です。
  •  良いホームドクター(獣医師)を決めて、様子がおかしいときは早めに受診しましょう。
  •  なお、病気になった時に慌てるより、普段からバランスのとれた食事や適量の運動に気を付け、ワクチンや薬で予防した方が良いでしょう。
  •  また、共通感染症を予防するためには、口移しで食べ物を与えるなどの過度の接触をしない、ふんや尿は早めに処理をする、犬の体や生活環境を清潔にする、犬の体に触れたりふんや尿を扱った後はよく手を洗う、などのことを守り、衛生的な飼い方を心がけていれば、必要以上に恐れることはありません。
  •  そして、普段から犬の健康状態に注意して、具合がおかしいと思ったら、早めに獣医師に相談してください。

【不妊・去勢措置】

    •  飼養頭数が増えて、適切な飼養管理ができなくなってしまった場合には、犬を劣悪な飼養環境下に置いて虐待する事となるだけでなく、人に迷惑や被害等を及ぼしたり、遺棄や虐待等の違法な事例を発生させることとなります。
    •  犬が繁殖し、繁殖数が増加しても適切に飼養できる場合以外は、できる限り繁殖を制限するように努めましょう。
    •  繁殖を制限する主な方法としては、去勢手術(数千~数万円)、不妊手術(数万円)、雄雌の分別飼育などがあります。
    •  不妊去勢手術は、一般的には大人になる前に行う方が望ましいとされており、その効果としては、みだりな繁殖を防止するだけでなく、性格が穏やかになってしつけがしやすくなること、発情期のストレスを軽蔑できること、子宮蓄膿症等の病気を予防できること等があげられています。
    •  なお、デメリットとしては肥満やホルモン失調が認められる場合があること等があげられています。

【その他】

    •  子犬の時に親兄弟と過ごした経験は大切であることから、子犬を親兄弟とは別に飼う場合は、ある程度大きくなってから(社会化期が過ぎてから)が望ましいと言われています。
    •  個体識別と終生飼養:マイクロチップ等による個体識別措置による所有者の明示と終生飼養は、飼い主の愛情と責任の証しです。